歌と歌手にまつわる話

(107) ジョン・ピザレリ Hit That Jive Jack!

ジョン・ピザレリ、John Pizzarelliが最初に来日したのは1990年だっったそうです。昨晩、Cotton Clubでのライブで、そう言っていました。

名前からわかるとおりイタリア系のアメリカ人です。ご先祖は「ピッツァ売り」だったのでしょうか。お父さんのBuckyは7弦ジャズギターの奏者で有名です。既に10代の頃から親子でライブをしていたといいます。1980年には「2×7」という7弦ギター2台の親子デュオ・レコードがあります。

血を引いているのです。ピザレリ一流のギターのアドリブとスキャットには舌を巻くしかありません。スピードと音域の広さでたまげさせるのとは対照的に、ソフトで力まない歌がまた最高なのです。ファンが多いわけです。

ビートルズナンバーが完全にジャズに昇華されています。「なるほど〜」とうなるのみです。


John Pizzarelli(1960- )

こういう歌手のライブは、古典落語の噺家の高座に通ずるものがあります。

スタジオ録音されたレコードやCDとは、まったく違って聞こえます。まだまだ、かれは若いですから今後25年位は日本に来続けて唄い続けることでしょう。また、見に行きたくなる、聴きに行きたくなる、そういう本当のアーティストなんだろうと思います。歌はさらにさらに円熟の境地に入っていくものと確信します。シナトラとはまた違ったカラーで大歌手に仲間入りしてくるに違いありません。

今夜もサービス満点でたくさん唄いましたが、圧巻だったのは”Hit That Jive Jack!”でした。古くはNat King Coleが爵士楽堂が歩き出した頃にレコードを出しています。山本五十六、真珠湾攻撃の2ヵ月くらい前のことです。

圧巻だったというのは、スキャットとギターがあったからです。調子がよくて面白そうな歌なのですが、昔から何故か私には平凡に聞こえる歌でした。自分で唄おうとは思わなかった歌のひとつです。しかし、ピザレリは歌と半端ではないギターとスキャットの「三つ揃い」です。まことに強い武器を持ったユニークな歌手です。脱帽です。2009/6/19

Hit That Jive, Jack

 


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