歌と歌手にまつわる話

(54) YESTERDAY? Yesterdays



The Beatles

"Yesterday"はすばらしい曲でジャズの大御所もみなさん唄っています。歌そのものはよいのですが初めは気に入りませんでした。何故かというと、"Yesterday"は知っているが"Yesterdays"は知らない人たちが多く、ただそれが気に入らなかったのです。

"Yesterdays"は1933年にオットー・ハーバックが作詞し、ジェローム・カーンが作曲したスタンダード中のスタンダードです。

ビートルズというだけで毛嫌いする偏見の持ち主も世の中にはまだいますが、わたしにはそういう偏見はまったくありません。しかし「せめて、両方知っていて呉れよな」と言いたいのです。でもビートルズの何曲かが、間違いなく、やがてスタンダードになるでしょうね。

同じように、ビートルズのP.S. I Love Youという歌を聞いたときも、「おいおい、またかよ」と思いました。Johnny Mercer, Gordon Jenkinsの名曲を向こうに張ろうというのでしょうか。


最近の若い学生達など、ビートルズさえ唄いません。増してや爺さんになるまで楽しめるようなジャズなど聞く機会もなにもないのです。チョットぐらい聞いたって分かるわけはないのは仕方ないとは思います。安物の日本の歌がいろいろなジャンルに出回るようになって以来、英語の歌が唄える若者はほとんどいなくなってしまいました。何事もちょっとだけやれば済むことしかしたがりません。

「悪歌は良歌を駆逐する」んでしょうか。

しかし、時々は若い人でも「ジャズが好きです」なんて言ってくれる人がいます。ところが、どんな歌が好きかと尋ねると、英語の歌なら何でもジャズだと思っているようです。でも、こういう時はあえて話を合わせるようにしています。そのうちだんだん分かってくれるでしょうから。

言い訳ではありませんが、どこの大学にもジャズのクラブがあり若い人たちがなかなか熱のこもった演奏を聴かせてくれますが、かれらは一般の学生ではありません。変わった若者なのです。


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