歌と歌手にまつわる話

(23) シナトラの歌の中でどれが好き? I've Got You Under My Skin (English version)


Frank Sinatra(1915-1998)

この歌をあげる評論家が多いといいます。まったく異論はありません。

シナトラが100年に一度の歌手であることを証明する傑作中の傑作です。人はシナトラを天才呼ばわりしますが、誰よりも自分の歌を一番よく聴き、研究と努力を重ねたのです。この歌の最初は56年、41歳の名唄、これぞ「シナトラ・スイング」の見本でしょう。

"Use your mentality"という歌詞が洒落ています。こんな歌詞、日本の歌にはでてきません。「おまえさん、頭を使いなはれ」…皆の衆、Cole Porterの36年作です。コール・ポーターとシナトラのご忠告として聴いて下さい。

スイング時代には、シナトラのようにビッグ・バンドの専属歌手出身の歌手に多くの名ボーカリストが育ちました。彼らは皆独立して一流の歌手になっていきました。シナトラは1939年にハリー・ジェイムス楽団からデビューし、翌40年にトミー・ドーシー楽団に引き抜かれました。

それからの栄光の道は知らずもがなですな。

「シナトラは晩年まで唄わない方がよかった」と評する方がおります。確かに、声もがさつき、高いトーンも出なくなっていたことはその通りです。しかし、わたしはそんなシナトラが好きでした。歌の命というのは別のところにあるのではないでしょうか。若い女しか女だと思わない人と同列の人種ではないかと思うばかりです。人間年取れば肉体的に衰えてきますが、失ったもの以上の何かを得ているのです。

ホロビッツがよぼよぼになってもコンサートをやりました。同じように「もう、弾かなければよいのに」と若い頃に思ったことがあります。今は反省しています。





Bing Crosby
(1903-1977) 
Mel Torme
(1925-1999 ) 
Perry Como
(1912-2001 )
Ella Fitzgerald
(1917-1996) 




Sarah Vaughan
(1924-1990)
Anita O'Day
(1919-2006)
June Christy
(1925-1990) 
Chris Conner
(1927-2009)

1920年代後半から40年代にデビューし活躍した男性歌手ではPaul Whiteman楽団のビング・クロスビー、16歳にしてChico Marx Bandの専属歌手、アレンジャー、ドラマーとなったメル・トーメ、1930年代中頃にTed Weems & His Orchestraで躍進したペリー・コモ、女性歌手ではチック・ウェッブ楽団出身のエラやアール・ハインズ楽団出身のサラもそうですし、スタン・ケントン楽団から出た白人女性3人組のアニタ・オデイは超ジャズィな唄い方、ジューン・クリスティ、クリス・コナーはハスキー・ヴォイスで魅了します。
 

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