歌と歌手にまつわる話

(1) みんなの好きな All Of Me
(in English, click here)



Billie Holiday(1915-1959)

ジャズを少々かじった人はこれなら歌えるという人が多いですね。だからと言うわけではありませんが、わたしはほとんど唄ったことがありません。下手だから唄えないのです。ジャズ歌手ならば誰もが唄いますが歌の女王、ビリー・ホリデーが元祖といってよいでしょう。彼女の歌い方がこの歌にあっているせいでしょうか。

  じつは、かのルイ・アームストロングがすでに1931年に唄い、ビルボード1位のヒットソングになっているのです。

  同じく"It's Only A Paper Moon"も人前では唄えません。とにかく難しい歌なのです。この2曲を満足に聴かせる歌手は超一流に違いありません。わたしはこの2曲のレッスンを6ヶ月ずつやらされたのです。自分が満足いかないので歌わないというわけです。



Lester Young(1909-1959)

  ビリーはレスター・ヤングから"Lady Day"という名前を頂戴しています。サウンドが似ているでしょ。父親はフレッチャー・ヘンダーソン楽団のギタリストでしたが、家族をほったらかしにしていた人で、その上、母親(籍は入っていない)もビリーを育てていく力も無く、ビリーは一人で育ったようなものだったのです。したがって、彼女は自分の生い立ちに劣等感を抱いていました。もっとも、彼女が生れたのは、父親が15歳、母親が13歳の時だったというのですから。

  ハーレムのクラブで唄っているところをジョン・ハモンド(妹がベニ―・グッドマンの奥さん)に見つけられ、33年にベニー・グッドマンとレコーディングしました。その後でテディ・ウィルソンと共演して成功をおさめています。

エラもサラもカーメンもダイナ・ワシントンも多くの歌手がビリーのステージを聴きに来て勉強したということです。とにかく女性ジャズ歌手の第一人者であります。


  Index       Previous Next