歌と歌手にまつわる話

(105) ジム・ホール来日 Concierto de Aranjuez


Jim Hall(1930- )

スペインの盲目の作曲家ホアキン・ロドリーゴ、Joaquin Rodrigo(1901-1999)が1939年に作曲したクラシック・ギター協奏曲「アランフェス協奏曲」は3楽章からなりますが、第2楽章のオーボエの旋律がよく知られています。

ギターは音量が小さいので、ギター協奏曲は珍しいです。こんな話が伝わっています。

民族楽器のギターをバイオリンと同じような地位まで引き上げたのはセゴビアですが、ギターという独奏楽器とオーケストラとの演奏にはバランス上問題が多いとして、アランフェス協奏曲を演奏しませんでした。

1947年、ナルシソ・イエペスの鮮烈なデビューでの名演奏がこの曲を世界に知らしめてしまいました。ついに、セゴビアはこの曲を演奏することなく死んでしまいました。

ごく新しいところでは、チック・コリアが「スペイン」の冒頭で、イントロに使って有名です。アル・ジャローが舌の回らないような歌詞をつけて唄ってしまいました。驚きました。

ジャズの人たちはいいメロディには貪欲です。クラシックのおいしいメロディはことごとくジャズメンに食べられてしまいます。古くはマイルス・デイビス、モダンジャズ・カルテット、マンハッタン・ジャズ・クインテットなどが取り上げていますが、ジム・ホールは1975年にアランフェスをジャズに編曲してシンプルに演奏しています。

ジム・ホールは翌1976年に来日してアランフェスを演奏しました。32年ぶりに2008年の11月に日本でおそらく最後となる「アランフェス協奏曲」を主題とするコンサートを開く予定でしたが、病気でドクターストップとなり、半年延期となりました。チケットが既に販売されているので、払い戻しだの何だの大変なことになりました。


Joaquin Rodrigo(1901-1999)

このコンサートを企画・招聘したJECインターナショナルから、私のサイトでこのコンサートの「お知らせ」を出して応援してくれとの依頼が7月にありました。以前にはハービー・ハンコックのお知らせも出しました。今回、送られてきた資料はプレス用の資料でした。招聘元はこんな資料をプレスに配布していることを初めて知りました。早速、この資料を私も使わせてもらいました、そうしたら、プレスが遠慮してくれと訳のわからんことをいって、このページは外しました。そして、JECのコンサート広告のページにリンクを張ることにしました。

プレスってバカヤロです。私はJECから直接もらった資料です。彼ら自身が書いた資料ではありません。もう、コンサートも1日目が終わりました。えーい、もう一回ここから見せちゃいましょう。⇒去年のプレス用資料から

心配していましたが、78歳のジム・ホールは来日を果たしてくれました。ステージには車椅子に乗せられて登場しました。しかし、ジム・ホール以外の何ものでもないサウンドでした。

もうひとつ、大きなおまけがついていました。75年のレコーディングでベースを演奏したロン・カーターがスペシャルゲストで参加しました。2009/5/18

アランフェス協奏曲第2楽章

 


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