歌と歌手にまつわる話

(63)  胸のつまる歌の話 I'll Never Smile Again

1940年、Tommy Dorsey楽団でFrank SinatraとPied Pipersが唄ってヒットした曲です。この歌はシナトラのキャリアの第一歩だったのです。

その一年前に、カナダのトロント生まれの若きソングライター、Ruth Loweが結婚1年で自分の夫を突然失って途方にくれて、彼女の妹に”I’ll never smile again”と語りました。そして、その夜、一夜でこの歌を書き上げたものです。このときRuth Loweは24歳だったのです。

オジサンズの数少ないレパートリーの中でも好んで唄う曲ですが、銀座のSwing Cityに世良 譲トリオと鈴木史子のライブを聴きに行ったとき、「おやおや、みなさんお揃いで。あれを唄いなさいよ」と唄わされたことがあります。ぼくらが歌っているのを世良さんは知っているのです。その上、世良さん自身も大好きな歌なのです。素人に歌わせるような店ではないのですが。お客さんは面白がってしまい、何曲かアンコールをされてしまったことがあります。

ある時は、ドリー・ベーカーが聴いて興奮して曰く「私がJo StaffordをやるからPied Pipersをやろう」と。 ドリーのライブで一度だけバックコーラスをつけたことがあります。

世良さんの名刺は手書きです。切り紙の模様は”The Days of Wine and Roses”を意味します。わざと文字を消してごめんなさい。昨年の夏には体調を崩して、酒類を絶ったことがあります。


Ruth Lowe (1915-1981) and Frank Sinatra

 


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