年頭の一枚(2010)

Mont St. Michel, France


20年も前のことですが、1990年の夏、モンサンミッシェルに行ってきました。

パリでSECOIAという国際会議があり、日本からも東工大学長の松田先生を団長にOR学会関係のメンバーが参加しました。松田先生には、奥様が同伴されましたが、私に「モンサンミッシェルに行きたい」とおっしゃいました。

「これ幸い」と会議をサボって出かけることにしました。

パリを朝7時に出発し昼過ぎにノルマンディの海岸にモンサンミッシェルの偉容が見えてきました。

島のてっぺんに修道院があります。1000年以上の歴史を持つ世界遺産です。

うす暗い回廊から美しい尖塔が見えました。印象に残る光景でした。しかし、あまりにも複雑で描くのが難しそうで、これまで尻込みしていたものです。

老眼に鞭打って描きました。

昨年10月に93歳のお袋が天寿を全うし親父が待つところに旅立ちました。この3年間は世田谷の老人介護施設に入っていましたが、24時間介護というものの、我が家での暮らしとは違います。その間に、認知症も進んで息子の顔もわからなくなりました。4月には肺炎を起こして、入院していましたが、退院することはありませんでした。神様か仏様がこの世で生きる苦しみから解放してくれたように思います。

つまり、私は喪中ということです。親父が亡くなった12年前には、親父自身が描いた油絵の絵葉書を「喪中欠礼」がわりに送ったのを思い出します。この時も「年頭の一枚」は喪中とは関係なくちゃんと描いていました。

2010年1月

若山 邦紘


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  2009年の一枚