歌をつくる人にまつわる話
The Story of Songwriters

(50) Ervin Drake It was a Very Good Year


Ervin Drake(1919 - )

アービン・ドレイクは1919年ニューヨーク生まれで、現在、91歳。来月には92歳となります。American Guild of Authors and Composersの会長を1973年から1982年まで務めました。

代表作に、”It Was A Very Good Year”という作詞作曲の歌があります。

誰もが「シナトラの歌だね」ということと思います。実際、1965年にシナトラがレコーディングし66年にはトップ10に入った歌です。しかし、この歌はドレイクが1961年に書いた歌です。

この歌を書くにはこんな物語があります。

ある音楽出版社の友達が「明日、キングストン・トリオのBob Shaneが来るから、彼らのために何か1曲書いてくれ」と頼まれて書いた歌が”It Was A Very Good Year”だったといいます。

キングストン・トリオといえば、1958年に”Tom Dooley”という北カロライナの古いフォークソングを歌い、世界中で大ヒットさせました。ラジオから毎日聞こえてきました。彼らは自分たちのアルバム「Goin' Places」に”It Was A Very Good Year”を吹き込みました。Bob Shaneがソロで歌っています。しかし、これはシングルで出していませんし、ヒットチャートに出ることはありませんでした。

シナトラがこの歌をカーラジオから流れてくるのを聴いて、自分も歌いたいとカバーしたのです。これは大ヒットしました。何ともさびしい歌なのです。10年以上前に、第3章でこの歌の紹介をしています。

失恋を回顧するのはIt Was A Very Good Year

シナトラが丁度50歳の時に歌った歌です。この当時の50歳といえば、今の70歳くらいの感覚かもしれません。シナトラは、ワインならばヴィンテージの年頃になった男が自分を回顧する歌を歌ったのです。後にマイウェイを歌うまでは、この歌が自分の人生を振り返るシナトラの代表曲だったはずです。それに、オーケストラ編曲はゴードン・ジェンキンスです。キングストンでは、彼らの爪弾くギターだけですが、ジェンキンスのオーケストレーションは、度々書かせていただきますが、何ともシナトラの歌を素晴らしいものにしてくれます。ジェンキンスの編曲はグラミー賞を取りました。シナトラも同様、男性ベストボーカル賞でした。

これを聴いて歌いたくなった歌手が世界中に現れて、50人以上の歌手が10ヶ国語以上の言葉で歌ったといいます。(2011/2/19)

    

 オリジナルのキングストン・トリオ をお聴きください

    

 
Frank Sinatra, 1965


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