ジャズと小噺

(19) 脱線授業 

Herbert von Karajan(1908-1989)

いつも私の授業は脱線します。

今年はカラヤンの生誕100年です。

今日のORの授業では、テープレコーダーのテープは切ったり貼ったりができるが、ビデオテープは画像の部分と音声の部分が同じ位置になく、ずれているので切り貼りが難しいのだという話をしました。

そのついでにフォン・カラヤンのことを話そうと思って「カラヤンは知ってるか?」と聞くと、誰も知らないらしいのです。カラヤンはテープに録音した演奏を聞いて気に入らないところがあると、「何小節目から何小節目まで」と言って、指揮を始め録音します。このテープを先ほどのテープの悪かった部分を切り取り、はりかえてしまうのです。

そしてテープを再生すると何事もなかったかのようにぴたりと収まっているという話をしようと思ったのですが、カラヤンを知らない者には話す価値がありません。

カラヤンの指揮は何の狂いもないので、何度録音してもぴったりと同じテンポで演奏され、したがってテープの長さも寸分の狂いもないという名人技を話そうと思ったのです。

学生のオーケストラではこうは行きません。ベルリンフィルやウィーンフィルのような一流の楽団でないと出来ません。

「君たちシンフォニーは聴かないのか?」

「シーーーン」

誰も聴いていないようです。そこで、

「ジャズは聴くのか?」

「シーーーン」

これも聴いていません。

やはり、うちの2年生たち、わけのわからない音楽しか聴かないのだということが判りました。

何度繰り返して聴いても、死ぬまで聴いても飽きないような音楽を聴いてほしいものです。そういうものは、いわゆる古典と言われるものにあります。

これを読んだ学生さん、「私はクラシックもジャズも聴いてます」なんてメールをくれなくとも結構です。

私のゼミには大学の交響楽団でティンパニーを叩いている4年生がいます。年に2回の定期演奏会には私も時間のある限り聴きに行きます。さらに、うちのゼミ長はドラマーなのです。

去年はロックバンドでライブをやっていた学生がいました。3年生までは金髪でした。ゼミに入ってからは普通の髪の色になりました。ちゃんと卒業できました。卒業が決まったときは「信じられねぇ!」って喜びました。いろんな学生が居ます。音楽だけでなく体育会のラグビー部、アメフト部、水泳部、ボート部の選手もいます。賑やかなもんです。

2年生、頑張れよ!先ずは十年続けて打ち込めるような事を始めなさい。2008/6/12


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